〈姉き〉の本
出版と同時におくっていただいた『お産椅子への旅』(岩波書店)を、今日、読みました。著者は大学・大学院の先輩であり、妻さんにいわせれば、ぼくは著者の弟分のようにみえたそうです。つまり、この著作は〈姉き〉の本ということになります。
人類学的な知見はいうまでもなく、哲学やヒト類以外の霊長類にかんする考察にもふれた作品を評する力量はないですけど、ときに行きつ戻りつしながら、お産という行為、椅子というモノ、女の身体への接触などを考え、ときに表現をくり返しつつ、近代とは何かを文字化してゆく過程を、ゆっくりと読ませていただきました。「あれではなくこれなのだという『あれかこれか』の選択で他を排除し、何か一つのやり方だけを絶対化していくというのは、まさに近代の価値選択のあり方」であり、「こうした価値の一元化こそ、近代のひとつの傾向性であり、近代の近代たる所以でもあった」(p. 209)というくだりに出会ったとき、学部生のころ、ときどき大学近辺の喫茶店でお話を聞かせていただいた/聞いていただいたことを思い出したのでした。ゆたかな会話・対話は多様な存在をみとめていました。
【教務】学生のゼミ選択について、学務スタッフの方と協議。
【書類】来年度の授業科目要項(シラバス)を提出。
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