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硬質の視線

今日も大学院入試の業務がありました。それなりに時間が細切れになるのを予想して、ミステリの文庫本を持参して読んでいました。北森鴻さんの描く「蓮丈那智シリーズ」です。以前から知っていた作家というより、正直な話、すこし前に『凶笑面』というサスペンスドラマをTVで見て、その原作を読みたくなって買いました。ミステリのできばえはともかく、2時間ドラマになるとこれほどにも装飾過多で登場人物の人格が変貌するものか、とあらためて認識したしだいです。文字から想像している人物や光景がTVの画面に映像化されるのですから、多少のイメージの変化はあるでしょう。というよりもオイラは、TVのほうの木村多江さんや岡田義徳さんを先に見ていましたので、まったくちがう作品としてうけとめたほうがよいかもしれません。

北森さんの文字イメージからどうにも想像できなかったのが、このエントリの表題のような表現です。“つめたい”なら冷徹とか、突き放したとか表現できると思うですが、「硬質」って? 乾いているのでもないでしょう。ちなみに木村さん(『大奥』の初島役をおやりになりました)の視線は、瞳のおおきさともあいまって、どちらかといえば柔らかい印象をうけます。「硬質」というと無機質な感覚をもってしまうのではないでしょうかね。

「蓮丈那智シリーズ」は短編集ですが、北森さんには『狐罠』『狐闇』という長編もあります(まだ読んでません)。同い年のかたというのが作者紹介でわかったのですが、こんなに長い作品を書けるなんて……。


【入試】大学院入試の諸業務。
【会議】臨時研究科委員会 15:00〜15:35
【会議】臨時教授会 15:45〜16:30

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Comments

 こんにちは、「蓮丈那智」からここにたどり着いたものです。私もあのTVを見て本を読みたくなりました。本を読んでから見るTVほどがっかりするものはありませんよね。私はまだ「凶笑面」は読んでいないので、ちょっと楽しみです。

Posted by: wannwann | Friday, September 30, 2005 23:16

コメントをありがとうございます。
あのTVは木村多江さんが出演するというので見てしまいました。個人的に大奥・初島や月桂冠のCMよりも記憶にのこる場面は、『白い巨塔』の「家族も恋人も友達もいない」林田加奈子役です。

Posted by: k2 | Saturday, October 01, 2005 10:54

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Tracked on Sunday, October 02, 2005 11:38

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