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『女子マネージャーの誕生とメディア』

高井昌吏『女子マネージャーの誕生とメディア――スポーツ文化におけるジェンダー形成』(ミネルヴァ書房、2005年)を、名古屋出張の往復の新幹線車内で読みました。表題の先頭に「女子マネージャー」という一種、キワモノ的で目をひくことばがあり、また、たしかに検索キーワードはこのことばではあるものの、E・セジウィック『男同士の絆』(名古屋大学出版会、2001年)をさかんに参照しながら、男性集団内の「ホモソーシャル」なあり方と、「境界」におかれる/みずから身をおく女子マネージャーという、関係性の側面をとらえた研究でした(と思う)。「ジャンダー」(ちょうど三河弁地域を通過中にみつけた (^^;))などの誤記や「○○のである」などの強い表現のくりかえしに疲れる点をのぞけば、メディアにのっかる定型表現や定式化にとどまらない点でスリリングに楽しめました。個人的にもっともうけたのは、



……男性スポーツ集団にとっての異性愛的欲望、それを発揮するのにもっとも身近な存在が女子マネージャーだったのだ。『キャプテン翼』に関して言えば、主要な男性キャラクターの多くに彼女(それも多くは女子マネージャー)が存在している。翼の最大のライバルであり、もっともストイックさをかもしだすキャラクターであった日向小次郎(彼は家庭が貧困で、かつ特訓好きである)には彼女がいなかったが、それがすべてを物語っているように思えるのだ(……)。pp. 127-8.



のくだりです。不覚にも気がつかなかったなぁ。ただ、「ユース編」などは別にして、「主要な男性キャラクターの多く」というのは無理がないでしょうか。岬、若林、若島津、タケシ、石崎、etc... にはいないんでないかい。


ジェンダものは気がつかないうちに読みおわるので(論が軽いという意味ではけっしてないです)、出張のおともに最適です。知的な刺激もえられます。

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