キャリア形成支援講演会
今日はおそらくは年内最後の会議日で、コース会議 → 教授会 → 研究科委員会とつづき、最後に「キャリア支援教育講演会」に出席しました。他大学の学生支援・キャリア形成教育のあり方をうかがうのは興味深いことですし、ましてや穏当な立教大学の取り組みは、立命館(あまりにハードな勤務ゆえに「立」を「落」と冗談のようにいう人がいます)のような最先端をブイブイいっている私学とは異なる慎重さがあるでしょう。〔ちょっとは〕期待してました。
ところが、70分ほどの講演をうかがって質疑応答にはいるころ、あたしのアタマは完全にマヒしてしまったのです。教室が非常に寒かったのもありますが、「顧客満足」のサーヴィスとして大学教育をとらえることが、それほど新しいとは思えなかったし、一人のかたをのぞいて質問が自己正当化以外のものでなかったからです。ほとんどの質問者は「顧客満足」を評価し、そうでない考えは古いとおっしゃる方でした。そういう立場の意見が学部の議論ではとおらない (;_;)、とナルシスティックにぼやく声もありました。
質疑のあいだじゅう、混乱してマヒしたアタマをひきずりつつ、ほんとうにそうなんだろうかと誰かに発言してほしい、などというせこく小ずるい思いにかられていました。フランスの歴史家アラン・コルバンの記事が『朝日新聞』に掲載されたのは、数週間前であったと記憶しています。歴史を研究することの一つの利点として、権力者や政治家がまちがった過去の人物像、イメージを呈示してきたときに、史料やことにそくした/正確な姿を対置できると書いています。べつにコルバンを仮借する必要はないけれども、大学がここ10年以上やってきたことにもうすこし内省的であってもいいと思うです。成功譚だけを、キャリアセンタ設立への天路歴程を、語ってほしいわけではないです。すくなくともあたしのまわりの学生さんの「満足」のはかりはマイナーで多様なようですし、一つのはかりでやれないところがあるからこそ、この職業を好きでいられます。だから、せめてこうした講演会の出席者と欠席者を線引きして、出席者だけを正当化するような語りは、もうやめてほしい。
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