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ほんまかいな

何というか、大学教員にルサンチマンのありそうな『朝日新聞』らしいというか、そーですかというか。つぎのような記事が asahi.com に載っておりました。

「サイバー大学は双方向・生涯学習の場」 吉村作治学長 2007年03月04日11時50分
 すべての講義をインターネットで行う「サイバー大学」がこの春、福岡市に誕生する。ユニークな教育方法をはじめ、通学の必要がない、入試(学力試験)もない、株式会社立と、斬新な大学像を打ち出している。大学全入時代、サイバー大学は新時代の大学教育をどう切り開くのか。学長に就任する、エジプト考古学者・吉村作治氏に聞いた。

 ――キャンパスのない放送大学や以前からある通信制の大学と、どう違うのでしょうか。
 「最大の違いは、好きな時にインターネットで映像や音声を再生できる、オンデマンド方式であることです。カリキュラムの時間は決まっていないし、リポートの郵送も必要ない。教授と学生との双方向性を確保して質問もやりとりできます」
 「通学の義務がないから、仕事をしながら大学教育を受けることや長期のボランティア活動も可能になります。たとえば、青年海外協力隊で外国にいても講義は受けられる、というように。今の大学ではボランティアしたくても、休みの時しかできないですからね」

 ――書類選考だけで学力試験はありませんが。どんな人たちを想定しているのでしょう。
 「学力テストを受けてない人が劣っていると考えることはおかしいし、試験での選別は大学のメンツだ。だから学力試験は行いません。サイバー大学の対象は高校卒業者だけじゃない。定年後の人、働いている社会人、勉強したくてもなかなかできない人、高校を中退した人、身体にハンディキャップを持つ人。100万人とも言われる引きこもりの人たちにも勉強の機会を与えることができるはずです。自分の都合のいい所で勉強できるのだから」
 「私は早大で、まったくの素人からプロのエジプト学者になるコースを設定して、社会人を受け入れてきました。原書講読もやった。でも学士号をあげられなかった。なぜかというと文部省の規定だからです。そんな矛盾ってありますか? 枠をちょっと広げようというのがこの大学なんです」

 ――団塊の世代の定年を迎え、生涯学習が盛んになっています。サイバー大学もその手段と考えていいのでしょうか。
 「小学校から死ぬまで生涯学習です。中学高校だってそう。でも、今の生涯学習はおやつみたいな暇つぶしで、学習じゃない。大学はカルチャーセンターとは違う。学士をとるという目標がある。それを達成する、それが大学で学ぶということです

 ――インターネットでは簡単に知識を手に入れられます。あえて大学である必要性は。
 「データさえあれば知識を自分のものにできると思うのは間違い。先生がいなきゃだめなんです。たとえばピラミッド。古い順に並べる、幅何メートル、高さ何メートル、何年前など。でも、これだけではデータにすぎない。知識とは、データを自分の歴史観や生き方に生かすことだ。それを助けるのが大学であり、先生の役割でしょう」
 「今の大学の教員は、研究のかたわら食うために教育もやっている、というのが現状ではないでしょうか。サイバー大学では、まずは教育。私は教育に熱心でそのスキルをしっかり持っている人を集めました」

 ――株式会社立だから、利潤の追求も視野にあると思います。利益が出たら、どう使うのですか。
 「出た利益は、一部は株主に、また教育の原材料となる研究に、そして教育そのものに回す。具体的には授業料を下げる。つまり、余剰は返す。学生への還元です。教育がもうけてはいけないなんておかしい」
 「だいたい今の日本の大学の授業料は高すぎます。一つの大学をつくるには、広大な土地を買い、校舎を建て、メンテナンスにも膨大なお金がかかる。でも、インターネットを使った大学なら、そんな負担はかからない。だから授業料の値下げもできるはずです」

 ――なぜ福岡市なのですか。
 「そう、どこにあってもいい。だから福岡市にあっていい。私は福岡が好きだし、アイランドシティの活用もあった。ソフトバンクのホークス球団もある。加えて地政学的にもアジアに近い。ご縁です。理屈じゃない。それで十分です」


最後は「理屈じゃな」くなっていますので、読後に旋回感をおぼえてしまいますが、勢いでつくってしまってよいだろうかと心配です。あたしが心配してどうなるものでもありませんが……。また、下線をつけたところ、とりわけ赤字にした部分は、語っている方も記事を作成した方も、実情をわかっていないことがあきらかでしょう。「教育的」ということばの意味が多様であるように、教育の側面とはなかなか評価するのがむずかしいものなのに、熱心さとスキルだけでだいじょうぶ? まるでスポ根みたい。

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