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疑問をつたえる

今日は、「日々是精進」にしても、「栗ゼミのホームページ」にしても、さらには「ちょっといい亭」さえ、妙にアクセス数が多くなっているみたいです。ひょっとすると、新潟でお会いした方々があたしの現物を見たのでウェブも確認しておこう、と思ってくださったのか――ほんとうになつかしい、15,6年はごぶさただった方にもお会いできでしあわせでした――、あるいはまだこちらのサイトは更新されていないけれども、ブツは郵送されてきたので、文句の一つもいったろかとコメント欄を探しにいらっしゃったのか、よくわかりません。職場の方もご覧になっているようですし……。ここでブツについて申しますと、帝国や思想ははっきり薄いです。経済にも冷たいです。18以外はおざなりかもしれません。でも、厚いところは本当におもしろいのをとりあげました。過不足なく、という必要があるのなら、これからは時代や分野で3人ほどの分業体制でゆくべきでしょう。

さて、土日と「国民国家」を聞かされてやや食傷気味でしたが、今日もまたネイション関連の話題がかわされる場にいあわせてしまいました。しかも、かなりナイーヴな話。酒井直樹さんとか、小熊英二さんとか、まさしくかれらが俎上にのせた言説がそこにはあった気がします。国際関係学部の学生さんには、主語を何で語るか、もう少し繊細であってほしいのですが、学年があがって会うたびに、一部(であってほしい)がますますパターン化した発言しかできなくなっているのを見せつけられて、がっかりするです。あたしもその責任の一端をおわなければならないですけど。

たしか、索引づくりに5日5晩の完全徹夜の強行軍を経験した、トムスン/デイヴィス/ギンズブルグ『歴史家たち』(名古屋大学出版会、1990年)でしたか、もうろうとしていた頭に、カルロ・ギンズブルグのことばがとても印象的であったのをおぼえています。世の中のあらゆるレヴェルで答えは用意されている、大事なことは答えを教えることではなく、疑問をつたえることだ、と――100%ではありませんが、おおよそは正確なはずです。今日のように、疑問までもが「用意されて」しまっている知的な怠慢を、言挙げしてもしかたがないのかもしれません。悪気なぞまったくない純朴な人たちだけによけいにハラはたつですが、あたしの授業はもはやとらない人びとですので、いじめようがないです。せめてゼミでは、せめて3年生以上向けの授業では、せめて卒業研究では、自前の疑問を大事にしておくんなまし。

【書類】新潟出張の復命書を作成 → 提出。
【枯れ木】旧LL教室の新装開店のセレモニを遠巻き。
 ※「枯れ木も山の賑わい」というイディオムを知らない人が、すくなくとも2名。いずれも20歳代の女性。
【高大連携】出張授業のファイルを作成。
【高大連携】同上。講義用資料を作成 → ウェブログに登載。
【高大連携】同上。出張先の担当者の先生宛てにファクスを送付。資料の獲得方法についてご連絡。

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