裁判史料をつかう
「演習」で読んでいる英語論文では、Proceedings at the Sessions of the Peace and Oyer and Terminer for the City of London and Middlesex のような裁判史料が注記されています。論文のテーマは近世ロンドンにおける食料供給と外食習慣という、犯罪や司法とは縁の遠そうなものですが、じつは裁判史料には人びとの日常生活も描きだされているのです。
たとえば、夫による妻の殺害事件がとりあげられていますが、そこでは料理を用意しない妻へ不満をつのらせる夫の姿があります。食器を盗み出した下宿人にたいする大家の証言からは、まかないを提供するのではなく、現代日本のレオパレスのように、食器や料理道具をキッチンとともに貸し出す下宿屋さんの存在がうかがわれます。レストランの給仕は、夜中にお得意さんが何時におとずれ、そして誰と口論、ケンカの末に殺傷にいたったかを語っていますが、これは人びとの外食習慣だけでなく、店の側の接客態度をも端的にしめす史料でもあります。お得意さんであれば、たとえ閉店まぎわであって料理がないばあいでもまねきいれ、この給仕をべつの店に派遣して、何かを買ってこさせているのですから。
裁判史料は、オイラのような犯罪や司法の社会史研究者だけでなく、もっといろいろな人がつかえる史料です。しかも、18世紀をはさんだ時代のロンドンには、ネット上でつかえるデータベースがあります。以前にも書いたものですけど、卒論・修論のとき、ふれてみてはいかがでしょうか。
こちらです → http://www.oldbaileyonline.org/
【授業】「演習」13:00~16:20
【授業】「演習」でつかうプロジェクタをセットアップ。
※今日は無線LANで接続してみました。
【授業】ゼミ分けガイダンス。5年ぶりに教務委員としてでなく、一教員として参加。
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