また来年
島根大学での日本西洋史学会からもどってきました。個人的には、宿所の無線LANがかなり微弱な電波状態であったため、ブチブチと切れる接続に、ブツブツと文句をいっていた以外は、楽しく、またはげみとなる大会でした。2日目の夜には前の前のエントリのようなことがあったのは、いつもより1泊多かった=旅程に余裕がもてたおかげでしょう。せっかくの大会ですから、もう少し期間が長くてもいいように思います。別府大学の大会は、1週間ぐらいつづくと楽しいかも。
公開講演では、昨年の「回顧と展望」で書かせていただいたオイラの望みが、ちょっとだけ叶いました。つまり、宗派抗争が後景にしりぞき、市民的公共性がすがたをあらわす時代の変化を、マンチェスタの文脈でえがいてほしい、という旨のことだったですけど、宗派抗争の時代のお話しが長くなったとはいえ、一昨日の講演では、食糧蜂起やブリジウォータ運河などの係争(イシュー)にそくして論じられました。ずっと以前には、「世の中 変わった」という表現で予告されていたものが、ゆっくりと見えてくるような気がします。楽しみだなぁ。
小シンポジウムでは、みなさん、ややトーンが抑え目だったのでしょうか。余裕あるなぁ、というのが印象です。軍事革命論の彼方で見いだすものが、イギリス史のばあい、今回は論者が16・17世紀史のお二人だったので、オイラには遠い気がしました。軍制の変更、動員・復員の社会的な影響などは、違法行為と治安維持にもかかわることですし、軍事の最前線はヨーロッパでなく植民地へうつってゆくようにも思います。なので、革命を相対化したうえで、さらにあとの時代への展望や地域的にヨーロッパをこえるひろがりがあってもよかったかなぁ。
これでまた、明日からの日々をすごしていけます。来年の専修大学まで、みなさん、お元気で。
【書類】出張の復命書を作成。
Comments
松江では久しぶりにお会いできて嬉しく思いました。また小シンポジウムにご参加いただいたこと感謝申し上げます。個人的には20分という時間的制限のなかで、皆さんによってはなじみの薄いスウェーデンの話をする必要がありましたから、前衛的な物言いを控えつつ論点をスッキリ整理し、論理的流れを破綻させることのない報告に努めました。ご指摘のように、それは「無難」という感想を多く頂いています。(やろうと思えば、バルト海世界を舞台に北のスウェーデンと南のポーランドをつないで、戦争という国際問題を梃子としながら、北欧と東欧の地域の垣根をとり払って新たな地域史を問う!とかもできましたが。)古典的な「軍事革命」論の対象とする時期設定が16・17世紀ですので、今回はその時代に限定して落ち着いて話しをしました。ブラックらの議論に立つならば、ご指摘いただいたように18世紀以降の話を含める必要もあったでしょう。それと、非ヨーロッパ世界への軍事の影響力の伝播は重要な視点です。「軍事革命」の影響はヨーロッパと接触をもった非ヨーロッパ世界の政治・社会変革を急激に変化させる一つの要因になったとする議論も、パーカらによってなされています。そうした議論を検討するには、少なくとも、ロシア、オスマン、明・清、日本の知見を交えるべきでしたね。まぁ、そうなると、このテーマだけで「全日セッション」になってしまう可能性がありますね(笑)。
Posted by: Gustav | Tuesday, May 13, 2008 07:18
歴史学研究会みたいですけど、数年に一度くらいなら、全日セッションもまた、楽しい企画でしょう。
ただし、「○○史の発表がない」という理由でいらっしゃらない方も存在する現状では、実現させるのは至難の業
Posted by: k2@自宅 | Tuesday, May 13, 2008 23:53