オンライン版『牧師の談』
知っていたのに黙っていたのか、といわれるのはいやですから、ここに記しておきます。
Old Bailey Online のサイトで、これまでデータベースが公開されてきた『裁判録』とはべつの史料、『ニューゲト監獄付き牧師の談』を利用できるようになっています。その形態は『裁判録』とおなじく、テクストデータと現物の画像を確認でき、キーワード、姓、名、職業、地名、年代で検索できるスグレものです。むしろ、『オールドベイリ裁判録』の現物と比較をすれば一目瞭然ですが、初期のころには両者が判別のつかないくらいに似ており、これまでデータベース化されなかったのが不思議なくらいです。収録された年代は1690年から1772年までですから、出版された『談』のほぼすべてをとりこんでいるといってよいでしょう。ただし、海賊版もふくめて包括的であるかどうかは、わかりません。
この史料をオイラは、マイクロと現物のコピーと転記したテキストデータでもっていますが、初期のころのものはなかなか判読しがたいところもありますので、このデータベース化はありがたいです。神戸大学で開催された2005年の日本西洋史学会の小シンポジウムで発表したときの基礎的な史料ですし、いま、出版にむかっている公共圏研究の論集に寄稿した論文でも、随所につかっています。これまで誰も読んだことのない史料をつかって、誰も知らないことをあきらかにするのは歴史学の醍醐味でしょうし、一種の快感ですけど、史料は個人の独占物ではありませんし、誰もが利用できる史料をしっかりと読みこんで、これまでにあきらかにされていない側面を指摘したり、複数の史料を照合してあらたな像をうかびあがらせるのもやるべき仕事だと思います。何より、BLにこもって目をしょぼつかせなくてすむようになったわけで――あのビラの活字の小ささはほんとに目に悪いです――、大歓迎ですよ。
テキスト版データベースについては、ほんとは自作したかった……。
【書類】来週の出張手続きを完了。
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