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いつ寝ているか

金曜日の2コマ目には、裁判記録や犯罪者の伝記を読んでいます。全体の3分の1くらいは、研究史の整理や制度史的な前提にかんする講義=オイラがしゃべりまくる時間にするですけど、のこりの3分の2くらいでは、生の史料(とはいっても、公刊史料やネット上にあるデータベースです)のなかから、それほどむずかしくないもの、現代人に意味不明な箇所のすくなそうなものを、証言者ひとり分などと手分けして読みすすめます。受講生のみなさんの英語力は平均的な大学生よりもあると思いますけど、なにせ、相手は200年、300年前の英語ですから、活字からして苦労する材料になるみたい。立っている小文字のsとよく似たfとのちがいはもちろん(これは語彙力と慣れで突破するしかないです)、活字じたいがつぶれてしまっている箇所もすくなくありません。破格の文法(e.g. "You was...")もあるし、やたらと大文字が多く、綴りまちがいや現代語とは異なる綴りもあるし(e.g. "Publick")、 もちろん、意味不明なフレーズやセンテンスもあります。おまけに、これが読めたからといって、TOEIC の点数が増えるわけでもないので、やる気と出席率はさがる一方 (^_^;) ヾ(^。^*)まぁまぁ

今年度のは、つい先月に原稿をだしたばかりの、あのセイラ・マルカムの『裁判録』と『牧師の談』にしています。“おろかな若い男4人組と元気な女一人とどっちがいい”とたずねたところ、乱暴狼藉をはたらいた若者組ではなく、老若3人をぶっ殺した娘さんのほうに票があつまったからです。いやいやしかし、5時間にもおよぶ『裁判録』はさすがに長いですよ。英語を追いかけるだけで、疲れてくるかも。中身を見せないでえらばせたオイラも悪いですがね。

活字の読みにくさや裁判のやりとりだけに気をとられていると、『裁判録』という史料のもつ多面的な価値を見落としてしまうことがあります。そのうちの一つが、生活史的なネタをふくめて楽しめる点です。マルカムを最初にあやしむことになったジョン・ケレルは、洗濯や掃除をする雑役女として彼女をやとっていた人物ですが、『裁判録』からは、ある日曜日のようすがあきらかになってきます。ケレルは朝9時には起きていて、すでにマルカムは同氏の部屋にはたらきにきていました。彼女に紅茶を買いにいくように命じて、ほぼおなじ時刻にたずねてきていた友人ゲヘイガンとともに、それから朝食をとります。朝9時に友だちがきているですね。それから連れだってコーヒーハウスへでかけ、レストランなどをハシゴします。月曜日からは仕事があるでしょうに、日曜日は1日じゅう遊びまくり、飲みまくっているみたいで、帰宅は深夜1時です。その時刻にマルカムが部屋にいたのであやしみ、深夜に部屋の物品しらべをはじめ、午前2時、3時というころに夜警を呼びにいくことになりました。ちなみに、夜警はちゃんとつかまります。これもすごい。夜警法案の通過は、オイラの記憶がたしかならば1737年でしたが、この事件は1733年、つまり、その4年前からすくなくともテンプル地区=シティでは民間の私的なイニシアティヴのもと、夜通しの業務につく夜警が配備されていたことになります。翌朝の9時、10時には治安官をつうじて治安判事(兼 市参事会員)のリチャド・ブロゥカス(1729年に市長でした)のもとへマルカムが送致されていますから、光のもどってくる2月とはいえ、夜のさなか、朝まだきのなか、公共のサーヴィスに従事する人びとのうごいているようすが多少ともつたわってくるです。ちなみに、殺害された3名の女性もまた、どうも深夜2時くらいにならないと寝静まってはいなかったみたい。

18世紀前半のロンドンという都市、市門はまだあるものの、もはや晩鐘(curfew)などという習慣は無視されていたのでしょう。

12月11日の業務
【授業】「英米文化論」13:00~14:30
【PC実習室運用】端末ロックの報告を受信 → ゼミの担当者に厳重注意を要請。
 ※逆ギレされてもねぇ (^_^;) こちらとしては、いきなり利用停止にしてもかまわないですが、話してわかるものならそれにこしたことはないので要請したまでなんですけどね。
 ※意図や悪意の有無に関係なく、PCをロックする行為じたいが禁止です。実習室にいるアシスタントさんはこちらからお願いしている処置で対応しますし、メーリングリストで報告してくれます。学部長からは、委員会の判断で利用停止の罰則を科してよいという了解を得てはいるものの、春先のガイダンスでもう一度、徹底させようと思っているところでした。でも、たえられなくなるかも。ひさびさに、ずごくさおづろ、ですよ。
【PC実習室運用】カラー印刷の課題提出問題 → 学生室の方に相談。
 ※英語の非常勤講師の方が課題をカラー印刷で提出するようにもとめたらしいです。問題を相談されても、ちょっと困るです……。

12月12日の業務
【授業】「イギリスと日本」9:00~10:30
【授業】「英米文化特殊研究」10:40~12:10
【授業】Office Hours 16:20~17:50
【院教務】修士論文の口述試験にかんする連絡を、学生室の方に依頼。
【院教務】同上。副査の選任を依頼する文書、試験の時間割を提案する表などを点検 → 返送。
【院教務】同上。試験会場の候補として、ひとまず共同研究室も確保。
【院教務】同上。研究科長に研究科委員会での連絡をお願いする → OK
 ※今月も研究科委員会は欠席なので \(^^:;)...

12月13日の業務
【授業】3512教員室の掃除。
【ゼミ】合同ゼミ発表会のコメントと写真をアップ。

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