テキ屋をまねるのも悪くない
以前にいただきものとして紹介した、『歴史はもっとおもしろい』には、いくつかの印象的なフレーズがあります。まもなく、合同ゼミ学生発表会——ここに「系」やら、「セクション」やら、「大会」やら、閉じられた名前をつけたがる人たちには辟易とします——が近いので、コミュニケーションにかかわる一点を引用させていただきましょう。
……本を読む行為は声にだして読むのが本来の姿でした。聖書のような大事な本は何かにすがるように、あるいは言霊を引き出すかのように、身体を前後に揺らしながら読まれた、あるいは詠われたといいます。そもそも書物の内容・原文=テキスト自体が声を出して読まれることを前提に作られていました。
……読み聞かせる者たちも聞き手も、抑揚のないフラットな声でうつむきかげんにレジュメを棒読みする、無表情な現代の学生ではありませんでした。
読むことと身体技法が切り離されてはいなかった、民衆的な「半識字」の世界をどこまでも称揚しようという趣旨ではありません。ただ、ここにはオイラが否定したいと思っていることを、より積極的な方向にかえて、しかも学問的に語ってくれている一節があります。
歴史学にとって、書かれた文字資料は言うまでもなく大切に決まっています。しかし、文字を通して「知る」世界の背後に、瞬時に消えてゆく、話すという世界があり、その都度、表出される感情や感覚の世界があったことを忘れないでほしいということです。
民衆文化の世界をおもしろいと感じて勉強をはじめたのは、30年近く前のいまごろのことでした。ピータ・バーク『ヨーロッパの民衆文化』を例にあげるまでもなく、パフォーマンスによって表現される文化世界の存在を知ったことは、犠牲者とか、あるいは闘争主体とか、きわめて単純に「人民」をかたづけてきたオイラに、新鮮な目をひらいてくれた重要な経験であったと思います。それを深めることができているかどうかは、はなはだこころもとないのですけどね。たくましいけれども、滑稽なやつらの姿をとらえられているのかな。
レジュメを棒読みする学生さんにはこう言いたい。
それなら、読んでおいてください、で十分だよ。
【授業】「イギリス社会史研究」10:40~12:10
【ゼミ】ウェブ学習支援システムからビデオカメラの貸し出し予約。
【WERC】ウェブサイト制作*ホスティング契約のうちあわせ日時についてメール送付。
【WERC】同上。うちあわせ日時を業者さんと協議 → 確定。
【WERC】ウェブサイトのリンク集作成依頼メールを送付。
【?】職場のおなじ階の先生から電話 → 教員業績調査用のファイルの操作をおつたえする。
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