世界遺産を授業につかってみたい
前期の金曜日はほとんど趣味にはしった授業をやっています。ウィリアム・ホゥガースの絵画をネタにして、ときに絵画そのものを構図やモチーフから考えたり、ときに挿絵的につかって過去のイギリスの社会を検討したり、ときに他の画家の絵と比較してみたり、Paulson や Bindman などの研究の受け売り的なところもあるとはいえ、けっこう好き勝手な内容です。今週が最終回になりますが、今回は受講生さんがそれぞれにしらべた絵についてプレゼンしてくれます。こちらの不安をよそに、それぞれにお互いの発表を楽しみにしてくれているみたい。12人という少人数のクラスだからできることなのかもしれません。
たとえば、先週(一昨日)はそのための準備にあてました。絵のスキャンや文献のコピー、ファイルの準備など3,4か所にわかれておこなったので、分身の術のつかえないアタシがフォローしきれず、「自習」に近い方がいたのはしかたありません。それでも、筋書きや見せる絵の選択などを相談して決まりましたので、健闘を祈っていましょう。
もう少し受講生の多い授業で、うちの職場(国際関係学部)の学生にとって、語学の勉強にも、イギリス研究またはイギリス史研究にもつながるような題材というと、世界遺産を以前から考えていました。連合王国全体でたしか28か所、イングランドには17か所(?)の世界遺産が存在します(ちなみに、日本は14か所)。このうち、ロンドンにある、ウェストミンスター宮殿付近、ロンドン塔、グリニッジ、キュー王立植物園などは有名でしょうし、個人的にはコゥルブルクデイルをしらべたことがあったので、とくに、アイアンブリジ峡谷がおすすめしたいところです。1829年に強姦事件が発生し、19世紀の恩赦請願運動のなかでもっとも署名者数の多いものの一つが鉄鋼業共同体コゥルブルクデイルで展開されましたが、そのときにはすでに峡谷の通称となっているアイアンブリジはその姿をあらわしていたのでした。
ただし、ホゥガースの授業は受講生が3年生主体で、しかも、この学年の方々との相性は比較的良好なのですが、世界遺産を題材に考えているのは1年生の英語の授業です。受講生のあいだで語学力の差はかなりありますし、今年はとくにその傾向=両極分解が強いように感じます。ふだんは待ちの姿勢を崩さすに半期分はいけるはずなのに、それがかないません。長時間の沈黙にこちらがたえられなくなっちゃう場面がしばしば生じます。たぶん、今年度のテキストに固有名詞や具体的なデータが少なく、クイズ的に答えられない点も影響しているのでしょう。
それで来年度になったら実験をしてみようと思いはじめました。15週の講義なら4・6・3くらいにわけて、最初はテキストの内容を読みとる訓練と情報の収集にしかた、プレゼンの事例を講義し、真ん中はグループワークでそれぞれが内容を確認する。最後はプレゼンの本番という授業構成でいけないかな、とか。Keynote または PowerPoint または Impress をつかうことは必須になりますけれど、グループ全員がつかえなくても、できる者が複数人いればよいわけで、さほどの障害にはならない、とか。先日はアマゾンでテキストになりそうなものを探してポチッとしてみました。中身をみて構想を広げようと目論んでおります。
ま、いまのところのスタンスは、“泣くよかひっ飛べ”といったところです。
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