不意打ち
一昨日の月曜日、高大連携事業の一環として高校まで出張して講義をしてきました。講義のタイトルは「世界史の教科書にさぐるイギリス人の生活」という割とまともなものにしましたけれど、かなり無理があったようです。高校の教科書をつかって大学の教師が授業をするとどうなるかという実験の結果は、メロメロになる、でした (^_^;)
世界史の教科書はABともに11種類が出版されています(たぶん)。最大手の山川出版社、採用数が最多の『詳説世界史B』から、型破りな第一学習社や清水書院までいろいろですけれど、基本的に学習指導要領では文明圏や世界の各地域の同時代的な把握がめざされていますので、イギリス史でとりあげるのにはかなり苦労します。資料集や用語集までつかえば、それなりにくわしいこともいえますけれど、そこはそれ、「高校の教科書をつかって」と限定した以上は、教科書のなかでネタ探しをしなければなりません。出かけた先の高校でお使いだったのは、山川『詳説』でしたが、ちょっとだけおまけをしてもらって、山川出版社の『現代の世界史A』からも題材をとらせてもらいました。それでも、一定のオチをつくるところまでは七転八倒しましたよ。現代にくるほど、イギリスに関連する叙述は薄くなってきますから。
ただ、一昨日の授業でメロメロになった事情は、端的にいって、知り合いが教室にいたからです。ちょうど10年ほど前、職場の近くの大学の大学院生であった彼とは、研究会や学会、あるいは懇親会などでよくおつきあいをしていました。研究発表に誘ってもらいましたし、修士論文をいただいてもいます。修士をおえて、高校の先生になったことは知っていましたし、賀状のやりとりから高校をうつったことまではうっすらと記憶していたですが、まさか、今回、自分が出張する先にいるとは思いもよりません。だいたい、「高校の教科書をつかって大学の教師が授業をするとどうなるか」などという出張講義のテーマは、世界史を担当なさっている先生方が敬遠してくださることをなかば願ってひねりだしたものでもあり、まさか本職の世界史の先生がおなじ教室で聞くなんて、ありえなーい、ことです。
荷物を運んでくださった生徒さんに、
「あの男性の先生のお名前は」
とたずねたところ、知っている名前が帰ってきて、
「○○さん、なんでいるの」
ということばが、失礼ながら口から出てしまいました ヾ(^。^*)まぁまぁ
彼によればメールをくださったそうですが、たぶん、ニフティ宛てのフリーメールだったので、はじかれてしまったのでしょう。こうして、のっけから隠しきれない動揺をかかえて、出張講義の時間はすぎていったのでした。
この反省をふまえ、来年度は奇をてらわずにおとなしく、「教科書挿絵の絵解き」くらいにしておきましょうか。
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