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イギリス史研究会第24回例会のご案内

幹事の方からメールをいただきました。一部を変更して、以下に登載します。

イギリス史研究会第24回例会のご案内

イギリス史研究会第24回目の例会を、下記の要領で開催いたします。ご多忙中とは存じますが、何卒ご出席賜りますようお願いいたします。今回は、イギリス近代史(社会史・経済史・都市史・企業者史)を研究されている岩間俊彦氏にご報告をお願いしています。また、コメントは政治史を中心に広くイギリス近代史を研究されている青木康氏にお願いいたしました。なお、第25回目の例会開催は、2011年12月17日(報告者:佐藤清隆氏)を予定しています。そちらの方も奮ってご参加下さい。2011年12月例会の詳細については、追ってご案内させていただきます。


日時:2011年10月29日(土)午後2時半 ~ 午後5時半
(開始時刻にご注意ください。)
場所  青山学院大学 ガウチャーホール 5階 第13会議室
キャンパス内地図
http://www.aoyama.ac.jp/other/map/aoyama.html
キャンパスへのアクセス
http://www.aoyama.ac.jp/other/access/aoyama.html

報告者とテーマ
岩間俊彦氏(首都大学東京)
ジョン・ブライトとバーミンガム ――ブライトと社会という視点から――

コメンテーター
青木康氏(立教大学)

参考文献:
① A. ブリッグズ、村岡健次・河村貞枝 訳『ヴィクリア朝の人びと』ミネルヴァ書房、1988年(新装版1995年)、第8章
② ‘John Bright’, in ODNB (2004)

世話役 平田雅博(青山学院大学)・坂下史(東京女子大学)
連絡先: 東京女子大学 現代教養学部

以下、岩間俊彦氏よりいただいた報告要旨です。ご参照下さい。

ジョン・ブライト(1811-1889)についての演説・資料集・伝記は、彼の存命中から出版されており、20世紀に(特に、第二次世界大戦以降)学術的研究の蓄積も進んだ。20世紀半ば以降のブライト研究は、急進的、あるいは進歩的な政治運動家かつ改革者という進歩主義的な解釈を修正しながら、急進主義、改革、国制の擁護、そして保守的な政治見解が同居する複雑な存在としてブライトを位置づける傾向にある。他方で、日本では、高等学校の世界史教科書の多くで、反穀物法運動の指導者「コブデンとブライト」と記されているにもかかわらず、ブライト研究はほとんど公刊されていない。

本報告は、このような日本での研究の不足を補うだけでなく、英語圏においても、同時代の社会におけるブライトいう点から新たな解釈を目指す研究の一部である。ブライトと社会の関わりという問題設定は、既にパトリック・ジョイス『民主的主体 Democratic subjects』(1994年)で試みられている。ポストモダンの手法による前掲書は、ブライトに関する刊行物の綿密な解釈を展開しながら、ブライトがナショナルな民主主義の表象となる過程を記述する。ジョイスの著作は、(2011年10月初め現在)キース・ロビンズによる最新のブライトの伝記(1979年)と比べて、ブライトの自己意識やイメージの現れ方という点について興味深い記述を提供する。しかしながら、ブライトと社会の関わりについて、テキストの関わりの中でのみ描こうとしたジョイスの試みは、ブライトの活動や演説と同時代の社会の具体的な関係について十分に解明したとは言い難い。例えば、ブライトの活動や演説は、同時代の社会空間において、人びとの間でどのように受け止められ、どのような影響を与えたのだろうか。本報告では、バーミンガムの討論団体(debating societies)について分析しながら、1857年から死亡時までブライトの国会議員出身選挙区となっていたバーミンガムにおいて、自由貿易・選挙法改正・平和主義・反帝国主義といったブライトの見解や活動が、いかに討論され、影響を与えたのか、明らかにする。

当日の報告では、ジョン・ブライトと現在のバーミンガムの関わりを示す事例を示した導入の後、まず、ブライトをめぐる史料、資料集、伝記、学術的研究の動向を整理しながら、同時代におけるブライトの位置を考える。また、本研究における史料・刊行史料・二次文献の活用についても示したい。次に、同時代のバーミンガムという都市や同都市の討論団体の特徴を示す。最後に、バーミンガムの討論団体における討議内容等を検討しながら、19世紀中頃から後半のバーミンガム社会において、ブライトがいかに語られ、評価・参照されていたか分析することによって、同時代の社会におけるブライトの位置について考察したい。

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