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イギリス史研究会第35回例会のご案内

幹事の方からいただいたメールの一部を修正して転載します。

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イギリス史研究会第35回例会のご案内

イギリス史研究会第35回目の例会を下記の要領で開催いたします。今回は、大西洋世界の商業史にも関心を持ちながら、近世の私掠・海賊や近世イングランドの「海戦支持の言説」の問題を中心に研究されてきている薩摩真介氏にご報告をお願いしています。今回は、開始時間がいつもよりも遅く午後3時からになりますので、ご注意願います。ご多忙中とは存じますが、何卒ご出席賜りますようお願いいたします。

なお、第36回目の例会開催は、10月の土曜日を予定していますが、詳細については後日改めでご案内をさせていただきます。そちらの方も奮ってご参加願います。何卒、宜しくお願いいたします。

日時  6月20日(土)午後3時 ~ 午後6時
場所  明治大学駿河台校舎 リバティ・タワー1123番教室 (12階)

報告者とテーマ
薩摩真介氏(広島大学)
「貿易の自由」か征服か
——十八世紀前半におけるイギリスの中南米植民地建設計画と対スペイン領アメリカ貿易構想——

参考文献:
Satsuma, Shinsuke, ‘The South Sea Company and its Plan for a Naval Expedition in 1712’, Historical Research, vol.85, no.229 (August 2012), pp.410-29.
薩摩真介「儲かる戦争 ― ブリテンにおける海戦支持の言説と党派抗争―701-1713 ―」『歴史学研究』903号(2013年3月), pp.29-47.
Louis, Wm. Roger (ed.), Imperialism: The Robinson and Gallagher Controversy (New York: New Viewpoints, 1976).

世話役 新井由紀夫(お茶の水女子大学)・佐藤清隆(明治大学)
連絡先: 佐藤清隆

以下、薩摩真介氏によるご報告の内容紹介です。ご参照下さい。

スペイン継承戦争(1702-13)の時期において、イングランド(1707年のスコットランドとの合同後はイギリス)では、海軍遠征を通じてのスペイン領植民地の征服、あるいは中南米の大陸部でスペインの支配が十分に及んでいない地域での植民地建設を目指す様々な計画が提案された。このような計画の対象となったのは、ハバナ、パナマ、リオ・デ・ラ・プラータ、チリ南部などの地域であった。この中南米での植民地建設計画は、1711年の南海会社の設立計画にも一部引き継がれ、のちに1739年のスペインとのいわゆる「ジェンキンズの耳」戦争の勃発に際して、再び復活することとなる。本報告では、これまで詳細には検討されてこなかったこのような18世紀前半のイギリスの中南米での植民地建設計画、とくにその経済的側面を精査することで、これらの植民地が具体的にはいかなる経済的役割を期待されていたのか、それらの植民地建設とイギリスの対スペイン領植民地貿易との関係はどのようなものであったのかを明らかにし、それにより当時のイギリスでみられた同地域に対する植民・貿易構想の解明を試みる。また本報告では、これらの植民・貿易構想が政治的外交的状況の変化に伴いどのように推移していったのかも検討する。このような分析は、19世紀にイギリスの「非公式的帝国」と化していったと論じられることもある旧スペイン領の中南米地域に対するイギリスの自由貿易帝国主義的政策の起源のひとつを探る試みでもある。

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