« いただきもの(大戦争がない) | Main | イギリス史研究会第37回例会案内 »

イギリス史研究会第36回例会のお知らせ

幹事の方からいただいたメールから転載します。


イギリス史研究会第36回例会のご案内

イギリス史研究会第36回目の例会を下記の要領で開催いたします。

今回は、17世紀イギリス文化史(宗教改革、陪審制、ブリテン問題など)の研究を精力的に進めていられる後藤はる美氏にご報告をお願いしています。また、コメンテーターは、近世イギリス軍事社会史の分野で活躍されている辻本諭氏が引き受けてくださいました。

ご多忙中とは存じますが、何卒ご出席賜りますようお願いいたします。

なお、第37回目の例会開催は、12月19日(土)を予定していますが、詳細については後日改めでご案内をさせていただきます。そちらの方も奮ってご参加願います。何卒、宜しくお願いいたします。


日時  10月24日(土)午後2時 ~ 午後6時
場所  明治大学駿河台校舎 リバティ・タワー1123番教室 (12階)
報告者とテーマ
後藤 はる美 氏(東洋大学)
「『復古危機』と革命の記憶――シャフツベリ裁判とアイルランド陰謀事件をつうじて――」
コメンテーター 辻本 諭(岐阜大学)

[関連業績]
「17世紀イングランド北部における法廷と地域秩序――国教忌避者訴追をめぐって――」『史学雑誌』第121編第10号(2012年)。
「『考えられぬこと』が起きたとき」近藤和彦編『ヨーロッパ史講義』(山川出版社、2015年)。

世話役 新井由紀夫(お茶の水女子大学)・佐藤清隆(明治大学)
連絡先 佐藤清隆 文学部 

以下、後藤はる美氏によるご報告の内容紹介です。ご参照下さい。

「復古危機」と革命の記憶――シャフツベリ裁判とアイルランド陰謀事件をつうじて――

 「ピューリタン革命」と「名誉革命」という、二つの「偉大な」革命に挟まれた王政復古期(1660~88年)は、歴史的意義の乏しい通過点として長らく等閑視されてきた。しかし、1990年代以降、この狭間の時代を「反動の時代」でも「嵐の前の静けさ」でもなく、独自の時代として再評価しようという動きが現れている。その最初の主要な成果が、ハリス、ナイト、スコットらによって続々と公刊されているが、日本ではほとんど研究が進んでいない。

 一連の研究は、カトリックに改宗した次期国王・王弟ヨーク公ジェイムズによる王位継承への抵抗が、「反カトリック」と「反専制」という1630~40年代と同じ思想と言語によって表現されたことに、初期ステュアート朝との構造的連続性を見出した点で画期的であった。王位継承排除法案をめぐって王権と議会の対立が激化した1679~81年は、「王位継承排除危機」ではなく「復古危機」という、初期ステュアート朝の構造的問題の再来として位置づけ直されたのである。こうした展開は、「ピューリタン革命」「共和政」「名誉革命」によって分断された従来の17世紀史を、ステュアート三王国の構造的問題として連続的に把握し直し、そのなかで、君主政と宗教改革というアンシャン・レジームの大問題に、王権・議会・民衆が、それぞれに異なる立場から接近した様子を浮きぼりにするものであった。

 本報告は、いわゆる排除危機のクライマックスの一つとなった1681年のシャフツベリ裁判とロンドン大陪審および「アイルランド陰謀事件」の動向を、復古危機の一端として、また、直前に展開した内戦の記憶・革命の遺産として位置づけつつ考察することをめざす。シャフツベリ裁判は、王政復古期のホウィグ/トーリ双方による一連の弾劾裁判の頂点であり、紛争は法廷内には留まらず、架空の教皇主義者陰謀事件「アイルランド陰謀事件」の疑惑も連動し、出版文化の隆盛と呼応してロンドン群衆とより広い政治社会を巻き込んで展開した。紛争に様々な形で参与した民衆の役割の考察を通じて、「復古危機」の時代における政治社会の変容とその文化的背景に迫りたい。この作業は、王政復古期こそが近世から近代への重要な転換期であるとするデュクレイの提言を批判的に摂取しつつ、君主政と市民的政治社会のありかたにどのような本質的な変化が生じたのかを検討する有益な基礎となるはずである。

|

« いただきもの(大戦争がない) | Main | イギリス史研究会第37回例会案内 »