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いただきもの(海はいいね)

古い友人からいただきました。

2014年に立教大学で日本西洋史学会第64回大会が開催されました。ポスター発表が大々的にとりいれられ、部会発表のなかったあの大会です。いくつかシンポジウムが用意されていましたが、唯一、参加した「北大西洋海域の船をめぐる文化空間と海民のリテラシ——海を飼い馴らすために」を基盤の一つにしておられます。

シンポジウムは盛会で、開始時刻にわずかに遅刻しただけで席をさがすのに苦労しました。神奈川大学のシンタロウさんが会場係で、空席に案内していただいたことをおぼえています。本をくださった友人とわりと近い席になり、発表者のおひとりには現在も職場に非常勤にきていただいている(受講者数が前任者にくらべて10倍増という人気!)、ふしぎな縁(えにし)のある共同研究です。

この3月から、ブラタモリではないですが、地元の河川交通・海運に興味をもって文献あさりと現地歩きをしています。対象となる川は二つあり、うち一つの川のぼりはきつく、往年の人足のわらじには踵の部分がありません。常時、つま先立ちで荷船をひいていたからとの説明がされていました。もう一つの川は対照的に高低差がなく、いまだに氾濫をする海のような川です。交易の点でいえば、急流のほうは遠隔の点をむすび、ゆるやかなほうは近隣の平面をつなぎあわせる、などと比較するだけで楽しくなります。土だけでなく、流動する水を相手にする楽しさとでもいいましょうか。

そうした楽しさで先行している方々の研究から、楽しさをまたさがしだしたいと思います。
ありがとうございました。

20160917

田中きく代・阿河雄二郎・金澤周作(編)『海のリテラシー——北大西洋海域の「海民」の世界史』(創元社、2016年)。

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