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前期のテレクラス

追試験あつかいにしたものをのぞき、成績評価まで終了しました。1週間の先送りではじまった前期の授業もようやく終了です。おつかれ、おつかれ。

いずこの職場でもそうであったでしょうけれど、はじめての遠隔授業(teleclass)を経験しました。東海学園女子短期大学に就職していらい、というか、学部3年生のころからずっと、週5日から6日間は大学にいることを日常にしてきた者にとって、生活の逆転は新鮮でもあり、不慣れで不便でもありました。週1日、だいたい金曜日の、それも午前中にしか在室しないので、非常勤専任教員といわれてもしかたありません。

テレクラスの何が不便であったかというと、自宅には気軽につかえるプリンタがなかったことです。逆にいえば、それだけ紙媒体の資料にたよっていたことになります。講義ノートは何年か前にそのほとんどを Evernote に移してありましたけれど、印刷して講義室にもちこんでいましたし、ほかの資料も同様です。受講生たちにも、あらかじめLMS(職場のは,Universal Passport です)に登載はしましたけれど、マインドマップなどは印刷して持参し、内容のメモにつかうように指示していました。これを何かに代替しなければならなかったので最初は途方に暮れました。ほんとうにトホホです。そのうちに自分の分は iPad Pro の Notability にいれて Apple Pencil でメモするようにしました。

前期の授業は、講義が出稼ぎをふくめて週に3コマ、語学が1コマ、演習が2コマでした。7月にオムニバス講義の順番がまわってくるのもあります。形式として、まず Zoom などのオンライン会議システムをつかうことはやめました。学生の通信インフラを考えたのと、あたらしい形式をとにかく自分で試行してみようとしたからです。自分の誤解であった点がいくつもありますけれど、テレカンツールは便利ですが、授業形式をかえないままやれる印象がありました。冒険してみたかったのでしょうね。

さいわいにして、オムニバス講義以外は履修者が確定した時点でいずれも10〜25人の規模でおさまりました。これならできる、と考えたのが文字チャットの利用です。わりとタイピングは速い(と本人は思っている)ですから、受講生にかかる通信料とネットにかかる通信量の負担をおおきくせずに、しかし、同期型の授業ができるかもしれません。授業資料はあらかじめLMSに登載し、授業の開始時刻に音声ファイルを投稿し、資料を見ながら音声を聞いて(この部分が講義にあたります)、終了後にチャットで講義の場合は気になったことをやりとりし、語学のときは内容を確認したり、クイズを出したり、練習問題を解いたりする、というようなやり方を毎週にやってみました。チャットが盛りあがったときも、そうでないときもありましたが、履修者にに救われた、人数が適切であった、というふたつが実感です。

ちなみに、LMSには Google Classroom をつかいました。わが社の Universal Passport には履修者が相互にやりとりできる機能が設定されていません。相互のやりとりがあったのは1科目、それも1回分だけでしたけれど、それができる環境のある(「やろうと思えばやれる」)ことが重要です。偶然にも昨年度の後期にいくつかの科目で試験的に Google Classroom を併用した経験を頼りにできました。文字チャットでは Slack と Discord が便利でした。後者は音声チャットも試しています。スレッドを利用すればグループワーク的な作業もできましたし、画像やリンクを貼る/張るのも簡単でした。Slack は評判どおりの使い勝手のよさを感じています。

一方で、演習と7月のオムニバスでつかったテレカンツールはいまいち(どころか、いま三くらい)はずしてしまいました。演習の当初は Webex を、時間制限がつくようになってからは Google Meet を利用しましたけれど、対面の単純な代替手段とはなってくれません。1拍ズレる、といった感覚はついてまわりましたし、文字チャットとは異なり、リアルな感覚が逆に発言を喚起することをむずかしくしていたようです。もちろん、アタシの個性もあるでしょう。オムニバスは4回のうち、前半の2回で Meet をつかい、後半の2回は Slack にしましたが、どちらもふるわず、結果として課題のできも目に見えてよくなるとまではいきませんした。どちらにしても、衆人環視のなかで反応するのはそれなりの慣れが必要かもしれません。

演習とオムニバスをのぞいた授業は、資料をつくって登載し、音声の原稿を書いて読みあげ、録音したファイルを投稿予約し、課題として提出された Google フォームをテキストファイル(csv)に落とし、コメントや回答をくわえてLMSに登載して確認してもらう、というのが1回分のサイクルでした。これをやると、自分もPCもほとんど休みはありません。同僚が「なんと、毎日、授業しかしていません」とこぼしていましたが、自分もそれに類する状況でした。散歩や料理や読書はしましたけれど、ほぼ遠出はなしで、安倍郡を合併する前の旧静岡市と静岡市と合併する前の旧清水市の範囲で暮らしました。ただ、そういう生活は嫌いではありませんから、Stay home 上等だぁ、です。

後期は Discord の音声チャットを活用するとか、グループワークに Jamboard をつかってみるとか、コメントや回答をテキストだけでなく音声にするとか、試行錯誤をしてみます。おつきあいくださいませ。

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