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読書の連休

まずはお礼のひと言からはじめます。正本さん、ありがとうございました。

ファニー・コザンデ、ロベール・デシモン(フランス絶対主義研究会訳)『フランス絶対主義——歴史と史学史——』(2021年)をいただきました。長崎から東京に移られても、堅実にお仕事をつづけられていることがわかります。「本当に『絶対権力』であり、また特殊フランス的な事象だったのだろうか」という出版社の紹介文からはひと時代前の認識が垣間見えますが、いえいえ、絶対王制の統治構造からすでに40有余年がすぎた今日にそのようには前提しません。むしろ、近代国家へと直結しない、近世独自の政治秩序こそ、この著作のさぐるところではないでしょうか。

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さて、連休中は読書に割く時間がわずかながらもありました。30年ちかくも週6日は大学にいる生活をつづけてきましたが、昨年から数字がまったく反転して、職場には週1日はおろか、半日もいません。2020年はちょうどかぞえで還暦をむかえ、賀状にも sexagenarri de ponte を記した年でした。今年もそのつづきです。オンライン会議システムの比率が増えましたけれど、遠隔授業/テレクラスをつづけています。免疫弱者を自認しておりますし、病気の百貨店であるのは生来のことですから、ハリネズミ生活、某氏にいわせれば「ヒキコウモリ(蝙蝠)」でどこが悪いと開きなおりました。おかげさまで用件をまわす人も少なくなってきて、いー感じ(文末を揚げる)みたい。

連休の前半は6日からの授業準備ですごしたあと、日曜日から読書です。おくればせながらグレーバーを感動して——Bullshit に感動する自分を笑う——読み終え、新稲法子さんの課題に汗して取り組み、中世のファクトとフィクションのつくられかたに想像をめぐらせました。なぜグレーバーに感動したかといえば、数年前に経験した認証評価の委員でハテナ感をいだいたのがことばになったからです。最近の某会議で、すでに存在する「○○委員会」に「○○運営委員会」なるものがつくられて、何じゃこりゃ感をつのらせたおまけもありました。

※すでに隠遁にひとしい日々ですから、揶揄しているだけのたわごとにすぎません。お目よごしをご容赦あれ。

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読書は消費行為かもしれません。書きものに生まれかわらせることの苦手な者にとってはとくにあてはまる……かな。1832年の解剖学校規制法とは、すくなくとも直接に関係しない読書です。とはいえ、どういうきっかけでも知的な高揚感をもつことは、対象に向かう感覚を研いでくれるようにも感じます。願わくは、この高揚感が1日でも長く継続しますように (*^^)v

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