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罪悪

職業柄、学生の書くものを添削したり、評価を下したりします。英語科目や学術スキル養成科目では書いてもらう試験(筆記試験)とプレゼンテーションを併用したり、履修者の相互評価を加味したりもしますけれど、講義を聞いて理解を高める、そしてそのテーマや題材を説明できるようになることを目標にした科目では、毎回に書いてもらう理解度点検と授業内の一定のまとまりごとに提出してもらうレポートが評価方法です。

歴史学は基本的に文献をあつかいますから、読むという行為は基本であり、それは史料であろうと、参考文献であろうと変わるところはありません。レポートのような締切のある課題は量的に読めないものがあってもしかたないでしょう。1本の論文を参考文献にあげて1本のレポートを出す学生には、苦笑を浮かべながら「まぁ、いっか」と朱を入れてかえすこともあります。

しかしながら、このところのレポートには奇妙な参考文献が登場しました。たとえば、
N・Z・デイヴィス『儀礼の政治学』
E. P. Thompson, Customs and Protests
です。ありそうですが、しかし、そのようなタイトルの文献(書籍)は存在しません。

想像するに、これはあの名高き生成AIの仕業ではないでしょうか。ある意味できわめて人間的で、厳密さが要求される場面でいいかげんな回答を提供する、あいつのことです。あいつに頼ってレポートを書いた、あるいは参考文献をさがしてもらった、ということかもしれません。ただ、ちょっと見逃すわけにはいかない罪悪です。

参考文献とは読んだものを記述するところであって、読んでいたら存在しない文献があがるはずはないでしょう。読んでいない参考文献をあげるのは不正行為です――逆に1ページとか、1段落とかでも自分で確認すれば参考文献にあげてもかまわないです。ちょっとしたことで評価者は見落とすか、見すごすか、気にしないか、大目に見るか、どれかになると高を括っている、あるいは括らせているとすれば、なめています。

あいつに頼るのはヒマでしかたがないときの話し相手になってもらうくらいにしちょきや(ちょっとだけ土佐弁)。

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