イギリス史研究会のお知らせ

イギリス史研究会からおくられてきたメールから一部を修正して(Zoom情報の削除など)転載します。
ご連絡をくださり、ありがとうございました。幹事の方々に感謝を申しあげます。

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拝啓 皆様

秋冷の候、皆様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
さてこの度、大石和欣さんの『家のイングランド——変貌する社会と建築物の詩学——』(名古屋大学出版会、2019年)の合評会をオンラインにて開催することとなりました。
文学・歴史・建築の三分野にまたがる書物ですので、評者もこの三分野からお願いしてあります。
お忙しいこととは存じますが、皆様どうぞふるってご参加下さい。

日時:2020年12月26日(土)14時より
評者:新井潤美氏(東京大学)/坂下史氏(東京女子大学)/頴原澄子氏(千葉大学)
リプライ:大石和欣氏(東京大学)
司会:勝田俊輔(東京大学)
ZOOMのアドレス:
同パスワード: 913506
進行方法など:評者からのコメント(各15分程度)に著者の大石さんがリプライし、その後全体で討論する形で行います
主催:都市史学会ダブリン研究ワーキンググループ

なお詳細は、勝田俊輔(東京大学)までお問い合わせ下さい。
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先生からいただいた2冊の本

先生からいただいた本が今年だけで2冊になりました。1冊は『イギリス史10講』(岩波新書、初版第1冊は2013年)の7刷で、もう1冊は話題の新刊、古谷大輔・近藤和彦(編)『礫岩のようなヨーロッパ』(山川出版社)です。両方ともようやく通読はしたものの、あいかわらずだらだらとつづく日ごろの業務にくわえ、8月はじめにでかけた集中講義とその準備とあとのダメジからの回復(笑)でお礼を申しあげるのがおそくなってしまいました。

あらためて申しあげます。

ほんとうにありがとうございます。
2冊とも笑みをうかべながら楽しく、ときに嘆声をあげながら読みました。

今年度は人数がすくないこともあり、残念ながらべつの本をとりあげましたが、『イギリス10講』は一昨年、昨年度のゼミの3年生が1講ずつを担当して発表する課題図書でした。極端な感想をいう学生によれば、「字ばっかりで、ほんとむずかしいっ」らしいです(苦笑)。通史や概説であるから、新書や文庫であるから、といってなまくらに向かうと、旋回感をおぼえるのは、『世界歴史大系イギリス史2』や『西洋世界の歴史』(いずれも山川出版社)とおなじです。イギリス史入門としてはたしかにむずかしいかもしれないので、一度の読書ですべてを理解できなくてもよい、と彼ら彼女らに覚悟させています。ゼミの担当教員はわからなかったところをいっしょに考えるためにいるのですから。学部学生が精読や味読という読書法を身につける題材として、『10講』は格好です。

『民のモラル』(山川出版社)の大好きなアタシは、学生といっしょに読んでゆく『10講』のなかに、「イギリス人の歴史的与件」(p. 75)、「歴史的条件」(p. 134)、「長い一八世紀の秩序と政治文化の大前提」(p. 164)、「歴史的経験に照らしあわせて考え……」(p. 302)、「与件」(p. 303)を見つけてよろこんでいます。『民のモラル』の p. 272 にある、「このような『国民の特別の風習と性質』にたいして、与件として対応するしかなかった」といういいまわしと呼応しており、これはまた、「シャリヴァリ・文化・ホゥガース」『思想』740号(1986年)、p. 180 の「こうした文化にたいして“与件”として直面するしかなかった」でもありました。

『礫岩のようなヨーロッパ』は、最初に翻訳された論文を読み、それから序文にもどって通読しました。集中講義があいだにはさまり、福岡へ向かう新幹線の車中で、あるいは宿舎で、あるいは通勤の地下鉄の車内 → 毎朝に立ちよったスタバのテーブルでページをひらくのがわかっており、途切れ途切れの読書になると予想していたからです。ケーニヒスバーガやエリオット、グスタフソンのていねいな翻訳を読んでから全体を読むほうが、研究史的に適切かもしれないと考えたからでもありました。

先生の筆による序文は、こちらの体調が反映したか、前半部分は何となく拡散気味にうけとめてしまい、うつらうつらしてしまいました。しかし、ジェイムズの同君連合のでてくるあたり、後半に入ってから目が覚めました。メダルや Orbis non sufficit へぐっと集塊化、というよりも収斂してきた感じ。あわせて、礫岩のような状態、政体という把握が提案されていて思わずうなずいてしまいます。あわててカバーを見れば、本書の英語タイトルは、A Europe of Conglomerate Polities でした。

個々の論文を読み、気づいたことも「政体」につながります。国家(論)というと、なぜでしょうか、堅いというか、固いというか、容れ物/容器、形式、制度、無機質なイメージをもってしまいます。そのタイトルのついた研究を読んではあきらめ、別のを読んではちんぷんかんぷんになり、何度も挫折を味わってきました。あるいは、とても抽象的な概念というか、空中戦というか。ことばをどのように理解するかに精力がついやされ、つきてしまう挫折です。ところが、通読しても『礫岩』論集にはそれを感じません。もちろん、東ヨーロッパや北方ヨーロッパを専門的に勉強したことなどないのですから、本来は『10講』にむかうわがゼミ生のような惨状におちいっていながら、本人が自覚しなかっただけの可能性もあります ヾ(^。^*)まぁまぁ

通読できたのは、支配を、相対的な選択権であれ、えらぶ人びとが登場し、集塊化し、脱集塊化するうごき、右往左往する姿を読者として追いかけられたからかもしれません。「(複数の)人々の革命(the peoples' revolution)」(p. 153 ではアポストロフィのうしろにスペースが欠落しています)という議論に、自律的な、戦略性をもってうごく人びとが書かれているからでしょう、……たぶん。無茶を承知でひきつけると、王位にある人物がいても別の地にあって不在であれば、王妃宛てに恩赦嘆願をするのは当然であったと考えるか(読書前のアタシ)、あるいは、だれにいつ嘆願すれば効果的であると思案をめぐらせた可能性はないか(読書後のアタシ)、かな。

両書とも、読むことを楽しみ、読むことがはげみとなる本でした。

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いただきもの(大戦争がない)

職場の同僚からいただきました。この出版社の、「教養の」シリーズ(?)はよいものが多いので、ありがたいことです。しかし、いただいたときの最初の著者コメントは、「第一次世界大戦がないんだよね」でした。

何となくわかります。昨年が1世紀を経過した記念すべき年でしたし、イギリス史でも「大戦争」といえば戦死者の数が多かった第一次世界大戦を指します。でも、「ないんだよね」。

「2」を出すときには、ぜひともお忘れなく (^^)/

20150811

杉本淑彦・竹中幸史(編)『教養のフランス近現代史』(ミネルヴァ書房、2015年)。

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いただきもの(大きな分かれ目)

先週の後半は、あいもかわらず会議と講義におわれ、くわえて学期末の試験採点や卒業研究の面談もあって、週初に立てた「ウェブログの更新するぞ」の誓いをまもることができずにすぎました。ああ、自己嫌悪、ああ、後悔先に立たず ((>_<。)。。
あたらしい週がはじまりましたので気をとりなおし、本日からあと2冊ほどのいただきもの&卑小ながらのお礼のことばをつづります。

いつかは読まなければと思いつつ、機会を逸してしまう書籍がたくさんあります。それが外国語の本であったりすると、空振りというよりも見逃しの三振を喫する可能性はさらに増すことでしょう(いや、すくなくともアタシの場合はそうです)。そうしたとき、当該の外国語と日本語に長けたかたがたによる翻訳のお仕事があると、とてつもなくありがたいです。英語を英語として読むのは重要ですけれど、それはそれで心理的な敷居が高くなりますし、何よりも翻訳もまた一つの解釈であるとすれば、それぞれが専門家でもある訳者のかたがたが産業革命や近代の世界経済の展開をどのようにとらえようとしているかを理解することは翻訳でしかできません。

なまけごころを戒めつつ、この夏に読ませていただこうと思います。ありがとうございました。

20150810

K・ポメランツ(川北稔監訳)『大分岐――中国、ヨーロッパ、そして近代世界経済の形成』(名古屋大学出版会、2015年)。

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いただきもの(海だよね)

編者のおひと方から日本西洋史学会(富山大学)の終了後にいただきました。学会でも販売されていたことでしょう。

地域としては、北海・バルト海域、北方ヨーロッパの陸域、アイスランドをふくむ北大西洋域、あるいはビザンツ帝国など、登場する人に目をむければ、ヴァイキングやハンザ商人、羊毛布の生産者としての女、グスタフ・アードルフなど、時代はおもに中世盛期から近世までが、本書にふくまれています。これだけで、いまの季節、立ちくらみがしそうな大きさと多様ぶりです(大暑の時期までぼやぼやしていたアタシが悪い)。中世はちょっと手が出ないにしても、近世のオランダやスウェーデンについては、ちっぽけな範囲の、ちっぽけなできごとを、あーだこーだととりあげたがる傾向の強い者にも刺激的な内容ではないかと思います。

あとがきにも書かれていますが、入門書的に読めるように、注はなく、各章末に重要な参考文献のみがあげられるスタイルです。それでも、図版やグラフ、表の出典の表記をみれば、いつでも専門的な註をつけられたことがわかります。誰に向けて書くか、を意識して、あえて……、という編集方針でした。

ご恵送いただき、ありがとうございました。

20150804

斯波照雄・玉木俊明(編)『北海・バルト海の商業世界』(悠書館、2015年)。

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いただきもの(渾身の講義)

日々の生活に余裕がありません。自分でもあきれはてるほどです。トクさんやハルさんにご恩返しをせねばならない学会には参加せず、二つの魅力的な研究会の日程が重なっていたのには両方ともでかけず、直接にお目にかかって知的な刺激をうける機会をみずから放棄しているかのような体たらくに、ただ自己嫌悪がつのります。力作をおくっていただいても読むだけで精一杯になり、お返事も、このウェブログでの紹介もままならないのは、ひとえに……(、以下は定型句 (..;)

ひとつずつでもお礼とご紹介をかねて、今週中には掲載したいと存じます。

まずは、師匠と研究室の学姉と Holloway からの友人にいただいたものです。「講義」というタイトルから気安さを想像してはいけません。おさめられた12編は historia の原義である「体系的な調査、それによる知識、その記述」を体現する「渾身の一こま」となっているからです。たとえば、複数の文書および文書館を利用しているからよい、というのでなく、その利用には研究のための必然性があることをも叙述のなかからつたえてくれています。読む側も試されるのはいかなる書物であっても共通していますが、導きながら試されるのは、けっこうしんどい経験でした。

「序」の最後に書かれた一文、「辞書は買って損しない……」もいい。

ありがとうございました。

20150803

近藤和彦(編)『ヨーロッパ史講義』(山川出版社、2015年)。
5月25日にいただいていたものです。

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いただきもの(カルスタ……じつは、ヨーロッパ史に)

職場の同僚からいただきました。なぜか、こっそりとあらわれて(笑)。

日本語の「レトリック」がもたらす感覚とはことなる研究をなさっています。タイトルや目次を見ても、そのことはわかるでしょう。文化研究であり、合衆国、ヨーロッパ、日本を縦断/横断するような現地調査のたまものです。居ずまいを正して読ませていただきます。

ありがとうございました。

こっそりとあらわれたついでに、「西洋史学の人には……」とおっしゃっていました。うーむ。
でも、図書分類では「ヨーロッパ史」に入っています。うーむ。

20150526

藤巻光浩『アメリカに渡った「ホロコースト」――ワシントンDCのホロコースト博物館から考える』(創成社、2015年)。

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いただきもの(これも Royal Holloway がらみ)

3連チャンでいただきものの記事となりました。

こちらの著者も Royal Holloway で研修なさっていました。あとがきにもありますが、ロンドンの西部のパトニーに住んでいたのは、やはり「ピューリタン革命」を意識なさっていたのでしょう。ワインをもっておとずれたアタシを奥さまの手作りカレーでもてなしてくださったことを思いだします。

有度山一帯の西側に位置する大学におつとめの著者とは、職場の近さ以上に、じつは古い縁があります。駆けだしのころに何度か『史学雑誌』の新刊紹介を書いたですが、そのなかの一冊が浜林正夫・神武庸四郎(編)『社会的異端者の系譜——イギリス史上の人々』(三省堂、1989年)でした。学振PDであった著者は、「ピューリタン革命と千年王国論」を書いておられました。今回の著作のキーワードの二つです。「犯罪の社会史」を勉強しはじめたばかりでしたので、「社会的異端者とは魅力的なタイトルであるが……」などと評したのは、ふんぞり返りすぎてお恥ずかしいかぎりです。

旺盛な執筆活動をつづけられて、2冊目の単著を出版され、すばらしいのひと言です。何年後かの学会開催もがんばりましょう。

20150318

岩井淳『ピューリタン革命の世界史——国際関係のなかの千年王国論』(ミネルヴァ書房)。

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いただきもの(Royal Holloway)

春は友人の力作をいただくことが多いです。ありがとうございます。

この方も Royal Holloway つながりです。昨春には、Takashi Ito, London Zoo and the Victorians, 1828-1859 (Boydell and Brewer) をいただき、今春には先に登載した、坂本優一郎さんの著作がありました。とはいえ、2000年にアタシが Prof. Corfield とお目にかかったときにいらした、その意味では Holloway つながりの最初にいるのが著者です。初対面のときは、たしか、学位をとったばかりだった記憶があります。

日本に帰ってきてからも実証研究と翻訳で着実に業績をつみあげられて、節目となるような出版物は教えていただいたり、直接に送ってくださったりしてきました。今回もまた……。知的な借財の増えるばかりのアタシでも、もう少し、もう少し、あと少し、あと少し、と踏んばれそうな気がします。

ところで、まだ、「キューには全国の文書しかないから、つまんない」とおっしゃっているのかなぁ ヾ(^。^*)まぁまぁ

20150312

小西恵美『長い18世紀イギリスの都市化――成熟する地方都市キングス・リン』(日本経済評論社)

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いただきもの(百万遍、Royal Holloway,DNC)

力作をいただきました。

著者とはじめてごあいさつをかわしたのは、百万遍にあった学生研修センターでのことでした。あつまりが近社研だったか、生活史研だったかはさだかでありません。ふくよかな笑顔が印象にのこりました。

再会したのはロンドンでのこと。「あとがき」にも書かれているように、ロンドン大学で1年間の在外研修をなさって、そのおわりに研究報告がひらかれたときです。たまたまBLでペニと話す機会があり、出席するように誘われました。たしか、大橋さんといっしょに聞きにいったはずです。報告の最初に聴覚を悪くされたといわれて、心配しました。

3回目のごあいさつはDNCでした。あとから入社したアタシが、1年のあいだ、頼りっぱなしになったのはいうまでもありません。着実に仕事をこなすところにお人柄を感じました。

奥さまには静岡で授業をしていただいたので、今度はぜひとも著者をお招きしましょう。株式や債券はしらべるとおもしろいですが――その意味では法制もおなじ――、素人の学生にはむずかしく聞こえます。そこは、まぁ、にこやかに。

古い友情と多大な学恩に感謝します。ありがとうございました。

20150227

坂本優一郎『投資社会の勃興――財政金融革命の波及とイギリス』(名古屋大学出版会、2015年)。

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